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秋津川村:紀伊続風土記(現代語訳)


秋津川村 あきづがわ  村居は5つに分かれ各々小名がある。 下(しも) 中(なか) 竹薮(たけやぶ) 谷ノ川(たにのがわ) 洞(ほら) 

 田畑高 518石2斗9升2合6勺
 家数  173軒
 人数  700人

上秋津村の北にあって山村である。1村で荘中のだいたい3分の2にある山間で小谷が多いが、東西の2つの谷がこれを総べる。秋津川は総名で、東の谷に下・中・竹薮の3ヶ所がある。西の谷に谷ノ川がある。下は上秋津村の北1里2町にある。中はまたその北14町余りにある。谷ノ川は中の乾(※北西※)12町余りにある。洞は谷ノ川の北29町にある。村民の多くは炭を焼いて業とする。山中の所々鬱茂した大樹が多い。これは村民が大樹になれば神があるとして恐れて近づかないためであるという。

稲荷明神社  境内周120間
下にある。1村の産土神である。古え地頭の目良弥次郎が京より勧請したという。櫟田氏が代々神主である。社人が6人ある。古い祝文を伝える末に「天正11年当荘地頭目良弥次郎春湛の命により旧本のように写した。元禄12年また写す」とある(その祝文には三所大明神とある。また弥次郎が初めて造立したとも見えない。また慶長15年目良弥右衛門湛正上葺の棟札があって稲荷大明神とある。またこの社は本谷に沿って往還にあったのを元禄12年目良弥右衛門尉湛長が今の地に移して再興したとある)。

小祠4社
 荒神社  中にある。
 王子社  社地森山周80間。竹薮にある。拝殿あり。
 大将軍社 谷ノ川にある。
 六荒神社 社地森山周60間。中にある。境内に弁財天社がある。

万福寺  桃源山  禅宗関山派田辺城下海蔵寺末
 本堂 5間6間  阿弥陀堂
下にある。目良弥右衛門尉湛清の建立という。

正福寺  堀越山  禅宗関山派村中万福寺末、中にある。

小堂4宇
 地蔵堂   境内周30間。
 観音堂   境内周40間。中にある。
 釈迦堂   境内山周60間。
 堂念地蔵堂 谷ノ川にある。この堂に多くの盆石を備えてある。ゆえにまた盆石地蔵ともいう。この谷より古屋谷のものに似ている盆石を出す。下品であるという。

中峯城跡
中にある。目良弥次郎春湛の城という。

大楠
小名洞のうちの於陵地(おりょうち)という所にある。大きさ10抱え、根本より3間ほど上で二股となり両股の間に数人を座らせることができる。1000年を経たものと見える。その辺りにまた楠の大樹が2本ある。小堂が1宇あって地蔵薬師を祭る。堂前に舞堂がある。7月に村民が相集って踊りをする所という。

和歌山県田辺市秋津川

読み方:わかやまけん にしむろぐん あきづがわ

郵便番号:〒646-0102

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牟婁郡:紀伊続風土記