大河内村:現・三重県熊野市紀和町大河内
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大河内村:紀伊続風土記(現代語訳)
大河内村 おおこうち 土地の人は「おこち」と称する 小名 三井良(みいら) 十薬(じゅうやく)
板屋村の未の方(※南西微南※)52町にある。本村は上地・下地と称する所があるが、一連である。地名の意味は字の通り。ただ大の字は疑わしい。あるいは小が転じたのであろうか。小名三井良はあるいは三浦谷という。村の5町にある。
辰の方(※南東微北※)23町にある。地名の意味は村中に昔、入鹿の一族で大河内大屋と号する者がいた。村名はこれから出たか。また地名によってその人を呼んだか、今は何とも定めがたい。村は入鹿谷の川に沿ってある。
○小祠2社
○大徳寺 自在山 禅宗曹洞派小栗須村慈雲寺末、村中にある。
○戸屋倉
絶壁の岩山である。村の東にある。
○布引滝 荒滝
2つの瀑布が1つの溪にある。三浦谷の中、寅の方(※北東微南※)、溪に30町ばかり入ったところにあるのを荒滝という。落差10丈ばかり。斜に樹間から望むが、谷が深くて全体を見がたく、また道が険しくその下に至りがたい。
そこからまた谷を2町ばかり入っていくと布引滝がある。滝は3段に落ちる。上2段は落差2丈ばかり、その下は落差20丈ばかりで幅は3丈ばかり。1つの大岩の上にかかって、岩は磨いたかのように滑らかでこれに沿って落ちるので、その形は1枚の大幅の白い練り絹を垂らしたかのようで婉麗で勇猛でない。滝壺に落ちて雷吼の音をなさない。布引の名は実に嘘でない。
○銅山跡
いつの頃にか銅を掘った古い穴が所々にある。本村にもあるが、小名十薬の方に多く見える。いま十薬の辺から三浦谷に行く道路に壁が立つように険しくそそり立つ岩山がある。先年、山が半ば崩れたということで道路に怪岩大岩が横たわっている。おそらくは銅を掘った地中の穴が年を経て崩壊し地下に落ちて、この変事を起こしたのであろう。
三重県熊野市紀和町大河内
読み方:みえけん くまのし きわちょう おこち
郵便番号:〒519-5415