宇久井村:現・和歌山県東牟婁郡那智勝浦町宇久井
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宇久井村:紀伊続風土記(現代語訳)
宇久井村 うぐい 小名 湊(みなと)
那智荘の狗子川村の東31町余り、新宮の往還にある。村居は海に面す。村の巽(※東南※)の方は長さ10町余り。幅2町ばかり。海中に突き出て橋を架けるかのようにその崎山の峰は南北に連なって長さ1里余り、丁字の形をなし、北の端を赤島といい、南の端を駒崎という。目覚山がその中間にある。
また村の北に浜続きで佐野村がある。佐野村の寅の方(※北東微南※)、浜続きで三輪崎村がある。三輪崎村は宇久井村の出崎と南北に相対し、その内海の湾は弓の形をなし、鈴島・久島・赤島・目覚山などいう島々が南北に相並び、だいたい弦の形をなしている。海浜の弓の形にしたがって翠松万株□□として相連なる様は書画を開いたようである。高い所に取り付いて海湾を望むと、海山が相映し遠近が勢いを張り、清麗爽快悉く応ずるのに暇なく心賞悉く給することができない。じつに海南の絶勝というべきだ。総じて海浜は景色の美しいものが多いが、ただこの地を魁首とするべきだ。
宇久井の名の意味は詳らかでない。小名湊は村の未の方(※南西微南※)にあ5町ばかりにある。その地には潜海士(かずきあま)がいる。
○小祠2社
○延命寺 鳳凰山 禅宗曹洞派伊豆国最勝院末、村の巽(※東南※)にある。
○目覚山
村の東、海中にある。東西1町50間、南北2町40間、高さ30間ばかり。島の中に水底神社の小祠がある。
○狐島 高根島
この2つは村の北の方の海浜で、新宮往還の側に相並んでいる小島である。狐島は白狐がこの島に棲むという。稲荷の小祠がある。高根島は土地の人が伝える歌がある。
目覚山おろす嵐のはげしくて たかねの松も寝いらざりけり
○大狗子坂 小狗子坂
村の西、新宮の街道にある。東を小狗子坂、西を大狗子坂という。
○鳴耶ノ浜
村の西16町、大狗子坂と小狗子との間、街道の浜辺をいう。古歌がある。
懐中抄 よみ人しらず
なくさまぬなをたつ人はよ□ともに 音を□なくやの浜のまに
○永野川
村の西にある。源は高津気村領原保山より流れ出て小名湊で海に入る。
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町宇久井
読み方:わかやまけん ひがしむろぐん なちかつうらちょう うぐい
郵便番号:〒649-5312
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