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皆瀬川村:紀伊続風土記(現代語訳)


皆瀬川村 みなせがは 小名 川湯

川湯温泉

請川村の南16町半にある。慶長検地帳に水無瀬川と書いてある。この谷の源は三村郷日足村の堺である妙法森また鳥屋森から流れ出て谷水は所々で地中を潜流する。周参見荘太間川村と同じ意味の村名。所々で地中を潜流し水が絶えることから出た。小名の川湯は筌川の北側にある。

八川明神社  境内山周3町54間
村の南6町ばかり。小名串という所にある。野竹曲川檜葉耳打・皆瀬川・蓑尾谷和田静川、8ヶ村の産土神で、当村に神主がいる。
里の老人が伝えて言うには、この神は古くは高山村の内藤母屋という所にあった。いずれの年であったろうか、祭りの日に熊野川に水が出て神主が彼の地に行くことができず、氏子らは神酒を飲んで皆退く。神主が遅れて来て氏子が退き帰ったのを怒り、神体を背負って当村に帰る。氏子らはこれを聞いて、社内にあった玉鈴鏡の類いを分けて各村に持ち帰って神体とし、その村々に祀ると。

八川神社
  八川神社
  本宮町内の神社で、下馬の石柱が建てられているのは熊野本宮大社以外ではここだけ。

日子神社
  田辺市本宮町高山にある日子神社
  ここがもとの八川明神社らしいです。11月23日が例祭。

大蔵庵  禅宗曹洞派新宮城下全龍寺末、村の中にある

小堂1宇

川湯温泉
本村よりは乾の方(※北西※)10町ばかり。小名川湯にある。請川村からは16町ばかり。筌川の上流である。湯峯村の南に当たり、互いの距離は1里ばかりである。

旅舎10余戸ある。温泉は川の中の2町ばかりの間、幾所となく涌き出て水面に泡をなす。里人が水際に窪地を作り、あるいは槽を川原に嵌めて浴庵を作るをよく目にする。雨が降り水が増水したときは浴することができない。

その湯は水中に涌き出るので温熱はだいたいちょうどよくなってやや熱いくらい。なので流水で冷まして浴する。その内の中間に涌くものは熱く、その上流や下流に涌き出るのはややぬるい。また雨の季節もしくは水が増したときはやや熱くて湯煙が立ちまさって炊事の煙のようである。

その湯を汲み取って見ると、清白で水のようで味は白湯を飲むのに等しくて塩気や悪臭はない。浴後は温暖の気が長く続く。その人体を暖めることに関しては湯の峯の湯に勝るという。よって湯の効能を考えると、陽気を順通して寒湿を温散する効能が最もすぐれ、四肢骨節の痺痛風毒湿瘡及び婦人瘀血帯疾経水不順腰冷不育などの症状によいという。

川湯温泉
  熊野の観光名所:川湯温泉
  熊野の観光名所:筌川(現・大塔川)
  熊野の宿:川湯温泉の宿泊施設

平家窟
鶴持谷という所にある。『寛文雑記』に出ている。古、平家の落人が隠れ住んだ所であろう。平治川などと同じ類であろうか。

和歌山県田辺市本宮町皆瀬川/川湯

読み方:わかやまけん たなべし ほんぐうちょう みなせがわ/かわゆ

郵便番号:〒647-1711/647-1717

田辺市本宮町の観光スポット宿泊施設

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牟婁郡:紀伊続風土記