七色村:現・和歌山県東牟婁郡北山村七色
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七色村:紀伊続風土記(現代語訳)
七色村 なないろ 竹原村分村 小名 田井本(たいのもと)
竹原村の寅の方(※北東微南※)14町にある。竹原村の分村である。村名の色は借字で、虚(うろ)の転語「豆呂」というのと同じく川岸の地名に所々いう。色川などと同例である。今、村の中に4所ばかり豆呂が見える。これより出て七は数が多いのをいっているのであろう。小名田井本は村中から18町卯の方(※東※)、北山川上流の岸にある。家数は5軒ばかりある。東の方で川を渡って神川村に至る渡し舟がある。北は和州吉野郡佐田村・同郡寺垣内村との堺である。
○浄泉庵 禅宗曹洞派新宮城下全龍寺末
○市老谷
和州桑原村・寺垣内村への街道で子丑の方50町ばかり。谷に沿って登る。その頂を不動峠(ふどうのとうげ)。
○獺戸(おそど)滝
小名田井本の中、北山川の流れにある。この地は、川の長さ2町ばかりの間、石岩が左右に壁立して中間が甚だ狭く、その中で滝となって3丈ばかり落ちる。幅はこの半分。その懸け落ちる奔流の勢いは喩える物がない。
筏に乗ってここを下るのを筏士の一芸とする。筏に乗って滝に至り、倒に落としかけ逆巻き、水の底に没す。筏士は竿を執ってその上に立ち、筏とともに出没して上に飛び、下に走り、ついに筏を離れ受けもし過って石に触れれば 粉となる。また過って淵に落ちれば不測の底に巻き込まれ出る術がない。実に死地に入って一死を求めるというべし。
獺戸滝は獺も越えることができないことから名づけたという。獺戸滝の傍に小釜という岩壷がある。4、5月の頃、洪水のとき、上り鮎がこの中に入って出ることができなくなる。里人は岩壷に入って手づかみにするという。
○鳥滝
村より卯の方(※東※)10町にある。北山川中の急流で、2町ばかりの間をいう。この滝尻にも4、5月頃、鮎が登るのを土地の人が手綱で捕える。
和歌山県東牟婁郡北山村七色
読み方:わかやまけん ひがしむろぐん きたやまむら たけはら
郵便番号:〒647-1602